「知っている人だけが悲劇を避けられる。」
元日本マイクロソフト社長である成毛眞さんが2021年に書かれた本書。AI、年金、自動運転、温暖化、南海トラフなど今後どのように社会は変化し対応する必要があるのか。書店をみても未来予測の本は沢山ありますが、その中でも多くの視点から物事を見つめ、そして説得力のある内容となっており、大変参考になる内容となっています。一般的な予測ではこれから衰退していくであろう日本が世界とどのように戦うべきか、そして私たち個人はどのように行動すべきか。考えさせられる一冊となっています。
テクノロジーの進歩だけが未来を明るくする。
この50年の間、想像を絶する速さでテクノロジーの進歩が進んでいます。その代表的なものは高度経済成長の中で様々な家電をはじめ、近年の携帯電話やスマートフォンの普及であり、当初は現代社会の様子を誰も予測できませんでした。現在も、少しずつ国内では5G通信が広がり、また、様々な所でAIの技術により人手不足を補ったり新たなサービスを提供してくれたりと便利な世の中になっています。その中で、超高齢社会を迎える日本において、特に地方の医療・介護・福祉をどのように支えていくのかは課題です。そこで5G通信によるオンライン診療や自動運転による高齢者の移動のサービスの普及が注目されています。法整備といった超えるべき壁は高いですが、世界に目を向けると空飛ぶ車は2040年の実用化に向け開発が進んでいます。
また、本書では日本の長所についても述べられています。日本のエネルギー事情では化石燃料をはじめとして資源が少なく電気を作るという点では不利な環境です。しかし、電気を貯めるという点では日本は有利な状況です。電池は日本のお家芸と言われてきたように新たな蓄電池(全個体電池)の開発が進むことで、太陽光で作った電気を全個体電池に変える。これにより、日本あるいは世界のエネルギー事情を様変わりさせる可能性があります。このように高齢社会を支える産業として、また、経済成長を支える産業としてテクノロジーの進歩が重要となってくるとされています。
あなたの不幸に直結する未来の経済
この章では今後の日本の年金・税金・医療費など深刻な問題を取り上げられています。コロナ禍前の日本には中国をはじめとする観光客で溢れかえっていました。これは日本の景観が魅力的という訳ではなく、日本の物価が安く世界から見ると貧しい国となっている状態だからです。また、日本は世界一の借金大国としても知られています。高齢者が増え、労働人口が減少する中でこの状況はますます深刻になると指摘されています。
その解決策の1つ目が先述したテクノロジーの進化による医療・労働力の確保です。2つ目が70歳まで働くことでの年金問題への対策、3つ目が縦割り行政を見直し税収増加です。また、その他にもベーシックインカムの導入や、個人での防衛手段としてのインデックスファンドにも触れられており私たちが今後、どのように対策すればいいのかヒント与えてくれています。
個人で今すぐに取り組める事として70歳まで働くための健康管理と働き方の見直し、インデックスファンドへの投資が挙げられます。コロナ禍において健康というのは何より大事であり、今後の日本社会においても重要な要素となってきます。また、日本もこの年金や税金対策としてNISAやiDeCo、ふるさと納税といった個人投資家のための優遇措置を講じており、個人で資産をどのように運用していくのかという点では必要な知識・内容となっています。私も数年前からお金の勉強を始め資産運用をしています。内容は下記にまとめていますのでご参照ください。
衣・食・住を考えながら未来を予測する力をつける
今後の日本では代替肉が普及し、シャアリング産業は拡大、マンションの価格は下落、中国産の服はアフリカ産で移行するであろうと述べられています。しかし、これらの内容は短期的に変わる可能性が高く予測が難しいものです。長期的にみると日本の不動産価値は下がることは大方の予測ではありますが、コロナ禍で世界中の政府が補助金を配り、これにより潤った富裕層は不動産を買うことで現在は不動産の価格は上昇しています。このように予測が難しい分野ではありますが、これまで学んできた知識を持ち、正しく判断することで対応できると書かれており、きちんとした一次情報に触れ日々問題に対して自分なりの考えを持っておくという事は重要なことだと感じました。
天災は必ず起きる
地球温暖化による異常気象はすでに始まっています。豪雨や巨大台風による影響を受けた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、南海トラフは今後30年以内に70-80%、首都直下型地震は30年以内に70%の確率で発生すると言われています。東日本大震災で日本人の防災意識は高まっていますが、もう一度自分の住んでいるところのハザードマップを確認する、非常食を常備するなど地震対策、台風対策の見直しをして欲しいと思います。
まとめ
以上が成毛眞さんの書かれた2040年の未来予測の要約でした。変化する社会にどのように対応し悲劇を避けるのか。厳しい現実を正しく見つめ、そして行動する。私もこの本を読んで、現実に向き合うことができました。この内容が少しでも皆様の参考になれば幸いです。
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