「正解を出す力」にもはや価値はない。これからは「役に立つもの」から「意味のあるもの」が必要とされる。世間には便利なものが溢れ、また、今後AIが台頭してくる世の中で私たちはどのように戦っていくべきか。美意識・アート・感性・世界観などAIには作り出せないものがある。
山口周さんは、幾多の書籍の中でも、私の価値観に影響を及ぼすような少し視点の変わった見方のできる本を多数出されています。今回はそんな山口周さんの著書のおすすめ3選を紹介したいと思います。
ニュータイプの時代
2019年に出された本書。冒頭にも書いた「正解を出す力」にもはや価値はない。とこれからの時代の戦い方を、オールドタイプとニュータイプに分けて分かりやすく解説されている。例えば問題を解き、正解を出すのがオールドタイプ、問題を探し出すのがニュータイプと区別する。問題というのは「ありたい・あるべき姿」と「現状」との差。私もそうであるが指示待ち人間のようではこれからはAIにとってかわられる。今の社会において、正解・モノ・データなど「過剰なもの」に焦点をあてるのではなく、問題・意味・ストーリーといった「希少なもの」に焦点を当ててそれらを生み出していく。
現代社会は指数関数的に変化している。その中で「自分の大切にしているものは何か」ということを鍛え・考えさせられる一冊です。
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
ビジネス書大賞2018準大賞、HRアワード2018最優秀賞を受賞しベストセラーとなった山口周さんの代表作。この中で特に参考になるのは一つ目が意思決定モデルの「サイエンス・クラフト・アート」のバランス。現代社会では直感・感性といったアートの部分より、数値・データなどのサイエンスが重要視されている。しかしサイエンスだけでは便利なモノが溢れる中で「希少性」やそのモノがもつ「意味」は創れない。これから必要とされるモノにはサイエンスに加え知識や経験といったクラフト、感性や直感といったアートが必ず必要となる。二つ目はそんな時代で世界のエリートが特に重要視している「美意識」という言葉。美意識とは複雑で不安定な世の中で正しい倫理感を持つために必要な「真・善・美」を鋭く見出す力の事。何が正しく(真)、何が良くて(善)、何が美しい(美)のか。美意識を高めるためにはモノを見る力を鍛える必要があり、見る力を鍛えるために「見て・感じて・言葉にする」こと。私の仕事に通ずることが多くいろんな悩みが整理でき、また最近では絵画や音楽の見方が変わり世界観が変わった一冊です。
自由になるための技術リベラルアーツ
山口周さんの最新書籍「自由になるためのリベラルアーツ」。リベラルアーツとはコンピューターでいえばOS、私たちの行動や判断をつかさどる根本思考。本書では山口周さんと7人の有識者との対談と言う形で構成されている。宗教や歴史、ポストコロナ社会における普遍的価値など様々な視点から対談が進められ、これから何を武器に生きていくのか、「武器としてのリベラルアーツ」としてまとめられている。何を大切にして、どこで違いを出すのか。多様な視点が身につく一冊です。
まとめ
様々な自己啓発本がある中でも一線を画し、新たな視点を与えてくれた山口周さんの著書の数々。その中から特に印象に残った3冊を紹介させていただきました。最近、テレビCMを見ていても自動車メーカーのスバルやAmazonなど、商品やサービスの価値に物語を組み込み「意味」を付加している印象を受けます。これらはこれからの時代に「美意識」や「アート」といった要素が重要であることを示唆していると思います。
また、私の仕事である作業療法士も対象者にとって「意味のある作業」に焦点を当てリハビリテーションを行う専門職です。山口周さんの本を読むと、作業療法と通ずる部分があるのではないかと勝手に感じています。
それはそれで、現代社会を生きていくうえで大切なこと。山口周さんはそれを教えてくれる大変おすすめの著者の一人です。
コメント