若手作業療法士に読んでほしい本4選

作業療法

私は作業療法士になり10年が経過します。主に急性期の病棟で脳卒中を対象に関わることが多く、それに関する学会発表を行ったり、最近では研修会の講師にお呼びいただいたりする機会にも恵まれてきました。作業療法士になりたての頃は、勉強の方法も分からずいろんな研修会に参加したり参考書を購入してきました。最近では少しずつではありますが、自分のなかでの作業療法士像というものができてきた気がします。そこで、今回これまで特に臨床で役に立ったり、「作業療法って素敵だな」と感じ私の作業療法士としてのアイデンティティの構築に役立った本を紹介したいと思います。それぞれ、問題解決を導く本もあれば、それにとどまらず臨床的にどのように論理的に考えることができるかという点でも非常に参考になる本と思います。

上肢運動障害の作業療法

脳卒中後の上肢運動障害に対して、脳卒中ガイドラインの推奨度:AであるCI療法を中心に、多くの先行研究をもとに評価・アプローチの方法が記載された2018年発売の本書。引用・参考文献の数も多く、私も臨床場面だけでなく、症例報告の場面、後輩指導など様々な場面で参考にさせていただいている。著者の竹林先生は脳卒中後の上肢運動麻痺に関わる作業療法士にとっては知らない人はいないと思います。従来のCI療法の適応にならない重度の運動麻痺に対しても電気刺激療法をはじめ、様々な方法を組み合わせたアプローチの工夫など臨床でとても参考になる一冊。

高次脳機能の神経科学とニューロリハビリテーション

畿央大学教授、畿央大学リハビリテーションセンターのセンター長を務めてられている、2020年に発売された、かの有名な森岡周先生の著書。本書は引用文献が1000を超え、根拠に基づく内容となっており、高次脳機能全般を網羅した本書は高次脳機能障害のリハビリに携わる人には必読。対象者の病態を理解しアプローチをするための論理的思考の手助けをしてくれる。いつも手元に置いておきたい一冊です。

作業療法はおもしろい

私の心のよりどころ。とある図書館で出会い、一度読んで何度も読み返したくなり購入。作業療法士の大先輩、鎌倉矩子先生に雑誌「クロワッサン」元編集長がインタビューを行い、その内容が記録された本書。悩んだときはこの本を眺め、そして読み返す。すべての作業療法士、作業療法士を目指すあるいは興味のある学生に読んでほしい一冊。きっと心が温かくなります。

だから、作業療法が大好きです!

脳卒中を患った著者の葉山靖明さんが作業療法の魅力について綴った本書。フィールドは異なるけども、このように作業療法を魅力的に伝えてくださる方がいる。作業療法の普遍化と作業療法士への提言。叱咤激励と思い研鑽しようと感じた一冊です。

番外編:文献検索サイト「Google Scholar」

この記事を読んでくださっている読者は若手の作業療法士が多く、文献に触れる機会が少ないと思います(恥ずかしながら私もその中の一人です)。Google ScholarはGoogleで学術論文・学術誌など検索できるサイトになります。例えば Google Scholar を開き、検索したいワード、私であれば「脳卒中 上肢 急性期」などのワードを打つと、それに関連する論文が出てきます。中には有料のものをありますが、無料のものでも有益な論文はたくさん見つけることができます。また、先に挙げた参考書2冊は数多くの論文をもとに構成されており、各章の最後に引用・参考文献が載っています。引用されている文献をみたい場合にはその論文のタイトルを打ち込めばアクセス可能です。ソート機能や引用数なども表示されますの検索する際には非常に便利な機能も備わっています。私たちが日々臨床で関わる対象者さんは参考書や教科書では解決できない問題を抱える方も多くいらっしゃいます。また、症例報告や論文執筆時には引用があるとその信頼性が高まります。 Google Scholar で文献を検索するという事は、そのような際には非常に有効な方法と思います。

まとめ

以上が若手作業療法士に読んでほしい本4選でした。最初の2冊は臨床での疑問を解決に導いてくれる。最後の2冊は作業療法について考え、そしてアイデンティティを育んでくれる。独断と偏見ではありますが、一見の価値はあると思います。ぜひ一度、該当する領域の若手作業療法士には読んでほしいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました