アドラー流、心の整え方。

本ブログ

 フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称され、D.カーネギーなど自己啓発のメンターたちに多大な影響を与えたアドラーの思想を、岸見一郎氏と古賀史健氏により一冊に凝縮されたアドラーの教えⅠ「嫌われる勇気」。その後に追記されたアドラーの教えⅡである「幸せになる勇気」。
 どちらも、強い劣等感を持つ悩みし青年と、アドラー心理学の哲学者・哲人との対話形式で構成されていて、スムーズに読み進めることのできる内容となっています。
 本書では、様々な人間の悩みの根源からその解決方法について示唆を与えてくれ、今回は特に私が参考になった部分を紹介させていただきます。

トラウマは存在しない

はじめに「嫌われる勇気」から参考になった内容。人はよく言い訳をする際に「●●はトラウマで…」と言う。しかしそれはアドラー曰く、現在の自分を肯定するためにトラウマという言い訳を作っているのだとトラウマを否定しています。私も何かできないことや、やりたくないことに対して、以前に失敗した事やうまくいかなかった事など回想し、何かと理由をつけて逃げてしまうことがあります。それはあくまで自分を肯定したいがために言い訳を作っているのに過ぎないということ。後述する様々な考えによって課題は解決できるため、トラウマを否定し問題と真摯に向き合うことが問題を解決するためには重要であるという事を示唆しています。

すべての悩みは「対人関係の悩み」

アドラー曰く、個人という内面で解決する悩みは無く、悩みは全て「対人関係」であるといいます。職場での悩み、家庭での悩み。そこには全て他者が関わっている。もしこの世に自分一人しか存在しなかったら悩みなど存在しない。確かに、思いつく悩みの多くは「●●に●●と言われた」「●●に嫌われたらどうしよう」など必ず他者が存在しています。悩みというのは他者からの承認欲求に基づくため、そのための課題解決が重要です。しかし、全ての人に承認欲求を捨てろと言っても困難です。例えば臨床実習に来た学生に高いパフォーマンスを求めるのであれば、マズローの欲求階層説に基づき、所属と愛の欲求といった承認欲求の問題を満たしていくことが、自己実現につながるものと思います。しかし、そこには「依存しすぎる」という負の側面もあるので距離感は重要となってきます。日頃の自分に置き換え考えると、「人の目は気にしない」、「自分の内部基準に沿って行動する」ことで、対人関係の悩みから解放されるのではないかと思います。

課題の分離

何か思い悩むときに、それをトラウマのせいにしたり、他者のせいにしたりして言い訳を作る。しかし、その悩みを解決するために重要なのは他者からの承認を求めずに、他者の課題と自己の課題を分離することと書いてあります。今、自分が抱えている悩みは他者の問題ではなく、自己の課題は何かという事を考える。それが課題を分離し、解決への糸口になると思います。

対人関係のゴールは「共同体感覚」

社会で生きていくうえで、他者との関りは避けられない。他者を仲間とみなし自分の居場所を感じることが大切である。アドラーは、まずは自分どう見られているかという自己への執着を辞め、他者へ関心を向けることが大切であり、それが「共同体感覚」を養う第一歩であると言います。少し難しい感覚でありますが、この考えで生活すると幾分と対人関係が楽になります。

怒ると叱るは同義

次に「幸せになる勇気」から参考になった内容です。登場人物である青年は教師をしています。青年は生徒の問題行動に対して感情的に「怒る」のではなく、正しい道を標すために「叱る」のだと言います。しかしアドラー曰く「怒る」と「叱る」は同義であり、 「怒る」と「叱る」 は両方とも教師と生徒間で主従関係を生んでしまう。そのことで生徒は反発し、更なる問題行動を起こす悪循環に陥るのだと言っています。

叱ってはいけない、褒めてもいけない

先述した通り、「叱る」という行為の問題点について取り上げました。しかしアドラー曰く「褒める」という行為も慎むべきと言います。「褒める」という行為はその相手の承認欲求を増長し競争を生むため、これも問題行動を助長してしまう。そのため、叱ってもいけない、褒めてもいけない。

信用するか信頼するか

では、対人関係を構築するために何をすべきか。それは「信頼」することであると本書では書かれています。しかし「信用」ではありません。「信用」とはそこに金銭などの利害関係が発生した関係で生まれるものです。「信頼」をする・されるためにはまずは自分が他者を「信頼」すること。自分の家族・同僚、対人関係の基礎はここにあると感じました。

まとめ

以上がベストセラーとなった「嫌われる勇気」と、その続編の「幸せになる勇気」の要約でした。私自身も本書を読んで納得する部分が多く、現代においても十分に通用する教えだと感じました。私は比較的、悩みを翌日に持ち越さない人間であるが、それでも何か悩みが起こった際には1日ナイーブな気持ちになり、家族に強く当たってしまいます。しかし、本書を読んでみると何か問題があった際には課題を分離し考え、整理することで気持ちを整えることができるようになりました。対人関係で悩んでいる方、本書を読んだことがない方にはこの内容が参考になればと思います。

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