慶応義塾大学教授、ヤフー株式会社CSOである安宅和人さんは、イエール大学で脳神経科学を学ばれたり、マッキンゼーやヤフーで働かれた多様な経験をもとに様々な書籍を書かれており、特にAIやビックデータを活かした戦略、思考術について大変参考になる内容の書籍ばかりです。今回はそんな安宅和人さんのおすすすめ書籍を2つ紹介させていただきます。
イシューから始めよ
まず一つ目に紹介するのが安宅和人さんの代表作「イシューから始めよ」。そもそも「イシュー」と日本語で検索してもほとんど説明がありません。安宅さん曰く「イシュー」とは問題に答えを出す必要性の高さと言われています。ただ、単純に生産性を高め大量の仕事でバリュー(価値)を上げるというのは無駄足で、本書では犬の道と言われています。まずはイシュー度を高め、解の質を高めていくことがバリューを上げるための最善の策である。そのイシュー特定の為に1次情報に触れ基本情報をスキャンするが、やりすぎないことも大切である。
つまり、まずは問題を「解く」前に「見極める」ことから始めることが重要であると本書で書かれています。私たちに与えられた時間は有限であり、無駄な仕事をするのはもったいない。取り組む前に「イシューから始めよ」。問題の本質を知らないままアプローチしても効率的ではないし望む結果が得られるとも限らない。
問題を見極め・仮説を立て・アウトプットする。アウトプットではまたエレベータテストのように20-30秒で概要をまとめ・伝えるスキルも必要。
本書では文字だけの説明だけでなく、多くを図解で示され難解な内容を論理的にそして分かりやすく説明されています。内容は大きくイシュードリブン、仮説ドリブン、アウトプットドリブンの3つで構成され、問題解決の糸口となる本書。社会人必見の思考術です。
シン・ニホン
2019年に書かれた本書では、現代は歴史的な革新期であるその中で日本は世界トップ30カ国のGDPの推移で一人負けを続けた15年間と言われている。鎖国から解き放された日本、高度経済成長を経験した日本。どちらも第1波では世界に乗り遅れたが、その後の第2波や第3派ではGDPで一時世界第2位にまで上り詰め、世界に肩を並べる成長・結果を残すことができた。平成に入ってからの日本のGDPの伸びは低調で、アメリカ・中国・インドなど世界各国に後れを取っている。しかし、これからも第2、第3の波で勝つ。ではどのように勝つのか。そして、どのように勝つための「未来を創る人」をどう育てるか。本書ではその方法について安宅さんの持論が展開されています。
夢×技術×デザイン視点
現代の日本は世界と比較し遅れている。しかし、いつでも日本は這い上がってきた。これからもまた這い上がるために、現代の日本の課題とこれから取り組むべき課題が示されています。生産性だけじゃ太刀打ちできない世界。既成のものを活かしつつ、新しい思考で取り組む。39歳という若さでフランスの大統領となったエマニュエル・マクロンもただ新しい政策を打ち出すだけでなく、フランス人のアイデンティティを大切にし、新しい風を吹き込む。安宅和人さんの考えはどこかエマニュエル・マクロンと似ている部分を感じる。
「僕らはどんな未来を残すつもりなのか。」
「一日生きることは、一歩進むことでありたい。」
さぁ行動だ。
最後の言葉が印象深く、これから私たちはどのように進むべきか、示唆を与えそして前に進む力を与えてくれる一冊です。
まとめ
これからAIが台頭してくる時代。そのAIやビックデータをどのように私たちが生かしていくのか。私たち人間にしかできないことは何なのか。これからの時代を生き抜くための様々な思考・働き方を教えてくれる安宅さんの著書。少し読むのに難解な部分はありますが、必ず読む人を勇気づけてくれる内容となっています。
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